本ページはプロモーション(広告)を含みます。
ITパスポートの合格点は「600点」とよく言われます。100問の試験なので「60問正解すれば受かる」と考えがちですが、ここは少し注意が必要です。
結論から書くと、合格の条件は総合評価点600点以上(1,000点満点)で、なおかつストラテジ系・マネジメント系・テクノロジ系の3分野がそれぞれ300点以上であることです。採点はIRT(項目応答理論)という方式で行われ、IPAは1問あたりの配点を公表していません。そのため、「60問正解=600点」とは言い切れません。
この記事では、IPA(情報処理推進機構)の公式サイトに書かれていることだけをもとに、合格基準・採点のしくみ・評価に使われる問題数を整理し、そのうえで「どこで落ちやすいか」「練習ではどこを目指せばいいか」をまとめます。情報は2026年10月31日時点のものです。
合格基準:総合600点と、分野別300点の2つ

ITパスポートの合格基準は、IPAの試験内容のページに次のように書かれています。
- 総合評価点600点以上であり、かつ分野別評価点もそれぞれ300点以上であること
- 総合評価の満点は1,000点、分野別評価の満点はそれぞれ1,000点
出題数と評価に使う問題数をあわせて表にすると、次のとおりです。
| 評価の種類 | 満点 | 基準点 | 出題数 | 評価に使う問題数 |
|---|---|---|---|---|
| 総合評価 | 1,000点 | 600点以上 | 100問 | 92問 |
| ストラテジ系(経営全般) | 1,000点 | 300点以上 | 35問程度 | 32問 |
| マネジメント系(IT管理) | 1,000点 | 300点以上 | 20問程度 | 18問 |
| テクノロジ系(IT技術) | 1,000点 | 300点以上 | 45問程度 | 42問 |
試験時間は120分、問題は小問100問の四肢択一です(IPA「試験内容・出題範囲」より)。
ポイントは、2つの条件を両方満たさないと合格にならないことです。総合評価点が700点あっても、マネジメント系だけ300点を下回っていれば不合格です。IPAのFAQにも「総合評価点が600点以上であるとともに、すべての分野別評価点が300点以上である必要があります」とはっきり書かれています。
分野別評価点は、総合点とは別に、それぞれの分野だけで1,000点満点に換算した点数です。総合点の中で各分野が何点分を占めるか、という意味ではありません。3つの分野それぞれに「最低ライン」がある、と考えるとわかりやすいでしょう。
採点はIRT(項目応答理論)

IPAが言っていること
採点方式について、IPAは「IRT(Item Response Theory:項目応答理論)に基づいて解答結果から評価点を算出します」と説明しています。公式に示されているのはここまでで、具体的な計算式や、1問ごとの配点は公表されていません。
IRTとはどんな考え方か
IRTは、テストの採点や能力の推定に使われる統計的な方法の総称です。一般には、正解した問題の数をそのまま足し上げるのではなく、問題ごとの難しさなどの性質をふまえて、受験者の能力を推定する考え方だと説明されます。CBT(コンピュータで受ける試験)のように、受験者ごとに出る問題が異なる試験でも、結果を同じものさしで比べやすくするために使われることがあります。
ただし、ITパスポートでIRTのどの手法を、どんな設定で使っているかはIPAが公表していません。ここで書いたのはあくまで一般的な説明で、ITパスポートの採点の中身を説明したものではない点に注意してください。
だから「何問正解で何点」は公式には出ていない
IRTで採点される以上、「1問10点」のような単純な換算はできません。同じ正解数でも、どの問題に正解したかによって評価点が変わる可能性があります。
ネット上には「◯問正解でおよそ◯点」といった換算表や体感の話も見かけますが、IPAが出している数字ではありません。合格に必要な正解数は、公式には決まっていないと考えておくのが正確です。この記事でも「何問正解すれば受かる」とは書きません。
100問のうち、評価に使うのは92問

もうひとつ見落とされやすいのが、100問すべてが採点に使われるわけではないという点です。IPAによると、総合評価に使うのは92問で、残りの8問は「今後出題する問題を評価するために使われます」。
分野別に見ると、評価に使う問題数は次のとおりです。
- ストラテジ系:32問(出題は35問程度)
- マネジメント系:18問(出題は20問程度)
- テクノロジ系:42問(出題は45問程度)
どれが評価対象外かは見分けられない
評価に使わない8問がどれなのかは、試験中に知らされません。見た目も他の問題と同じです。「この問題は難しいから評価対象外だろう」と飛ばしてしまうと、実は採点される問題だった、ということも起こりえます。
やるべきことはシンプルで、100問すべてを本番の問題として解くことです。わからない問題も、4つの選択肢から消去法で絞って、空欄にせず答えておきましょう。
本番では「飛ばした問題に必ず戻る」
試験時間は120分で100問なので、1問あたりに使えるのは平均1分強です。長い文章の問題や計算問題で手が止まったら、いったん後回しにして先へ進み、最後に戻ってくるのが基本です。
大事なのは、後回しにした問題を答えないまま終わらせないことです。四肢択一なので、わからなくても選べば正解の可能性は残ります。残り時間が少なくなったら、まず未解答の問題を埋めてから見直しに入りましょう。本番の画面操作に慣れておきたい人は、IPAが配布している「CBT疑似体験ソフトウェア」で事前に試せます。
「正解率」で考えるのも難しい
評価に使うのが92問で、しかも配点がIRTで決まるので、「100問中◯割」という考え方は二重にずれます。過去問の正解率は「実力の目安」としては役に立ちますが、本番の評価点にそのまま置き換えられるものではありません。
落ちやすいのは「分野別300点」

総合600点に目が向きがちですが、合否を分けやすいのはむしろ分野別の基準です。総合点は得意な分野で稼げても、分野別の基準点は苦手な分野だけで超えなければならないからです。
マネジメント系は評価に使う問題が18問と少ない
マネジメント系は出題が20問程度、評価に使うのは18問です。3分野のなかで最も少なく、1問ごとの重みが相対的に大きくなりやすいと考えられます(配点は非公開なので、あくまで問題数からの推測です)。
マネジメント系は、プロジェクトマネジメント、サービスマネジメント、システム監査などが範囲です。勉強の時間がストラテジ系とテクノロジ系に偏り、マネジメント系が手薄なまま本番を迎えると、ここで基準点を割るおそれがあります。
IT職の人はストラテジ系、IT職でない人はテクノロジ系に注意
普段の仕事によっても、つまずきやすい分野は変わります。
- ITの仕事をしている人:テクノロジ系は得意でも、経営戦略・会計・法務などのストラテジ系で点が伸びないことがある
- ITの仕事をしていない人:ストラテジ系はなじみがあっても、ネットワーク・データベース・計算問題などのテクノロジ系で手が止まりやすい
総合点の見込みが600点を超えていても、ひとつの分野が手薄なら安心はできません。「得意分野で稼ぐ」より「苦手分野で落とさない」を優先するほうが、合格に近づきます。
ためしに、出題数の少ないマネジメント系から1問解いてみてください。IPAの公開問題から1問、その場で解けます。ここで迷うようなら、マネジメント系の復習を予定に入れておきましょう。
練習で目指すライン:過去問で各分野6割以上

ここからは公式の基準ではなく、資格のミカタとしての練習の目安です。
配点が公表されていない以上、「本番で何問正解すれば大丈夫」という数字はありません。それでも、準備の段階で目標を持っておかないと、どこまで勉強すればいいか判断できません。そこでおすすめしたいのが、IPAの公開問題(過去問)を解いて、3分野それぞれで6割以上の正解率がそろうまで仕上げるという目安です。
総合点だけを見ていると、苦手分野が隠れてしまいます。正解率は必ず分野ごとに分けて記録してください。
「6割」を目安にする理由
6割という数字に、公式の裏づけはありません。それでも目安にするのは、次の3つの理由からです。
- 本番は初めて見る問題が中心:公開問題は解くほど答えを覚えてしまうので、初見の本番では正解率が下がりやすい。練習の数字には余裕を持たせておきたい
- 評価点の計算が読めない:IRTで採点されるため、正解率と評価点の対応はわからない。読めない部分は、正解率の上積みでカバーするしかない
- 分野ごとに見ると問題数が少ない:マネジメント系は18問しか評価に使われないので、数問の取りこぼしで正解率が大きく動く
なお、解き直しで答えを覚えてしまった問題の正解率は、実力より高く出ます。仕上がりを確かめるときは、まだ解いていない年度の問題を使うと、本番に近い数字が見られます。
弱い分野の見つけ方
- 公開問題を1回分(100問)、時間を計って解く
- 答え合わせのときに、問題を分野ごとに分けて、分野ごとの正解率を出す(公開問題は分野順に並んでいて、たとえば令和7年度は問1〜35がストラテジ系、問36〜55がマネジメント系、問56〜100がテクノロジ系です。境目は年度で少し変わります)
- いちばん低い分野から復習する。同じ分野のなかでも、間違えたテーマ(例:プロジェクトの日程計算、サービスレベル管理など)を書き出す
- 2〜3日あけて、間違えた問題だけを解き直す
IPAの公開問題は、ITパスポート試験のサイトで問題冊子と解答例が公開されていて、2026年10月時点の最新は令和8年度分です。公開問題で、出題の形式とよく出る論点をつかむのが基本の使い方です。過去問の回し方はITパスポートの過去問の使い方で詳しくまとめています。
苦手なテーマを短い単位でつぶす
苦手な分野がわかったら、テキストを最初から読み直すより、テーマを小さく区切って「理解→問題」をくり返すほうが効率的です。用語で止まるなら用語の覚え方、計算で止まるなら計算問題の対策も参考にしてください。
スマホで進めたい人は、資格のミカタの学習アプリ「ごうかくっ!」も使えます。ITパスポートのIPA公開問題を令和6〜8年度の3年分(計300問)解けて、カワセ先生による3分前後の動画レッスンで1テーマずつ確認できます。毎日の「今日の3問」もあり、登録は無料です。
試験結果はその場で出る。合格の確定は後日

ITパスポートはCBT方式なので、試験結果は受験が終わったその場で画面に表示されます。総合評価点と分野別評価点がわかるので、合格基準を満たしているかどうかは、その時点でほぼ見当がつきます。
ただし、IPAのFAQには「受験者端末に表示される試験結果が合格基準を満たしていても、その時点で合格とはなりません」と書かれています。合格者は経済産業大臣が決定し、その後に合格者の受験番号がITパスポート試験のサイトに掲載されます。
その後の流れは次のとおりです(IPA「試験概要」「合格発表」より)。
- 合格発表:受験した月ごとに日程が決まっている。発表時刻は正午の予定
- 官報:合格発表の翌月、合格者の受験番号が官報に公示される
- 合格証書:合格発表の翌月に簡易書留で郵送(不合格者には通知なし)
- 試験結果レポート:試験終了後、利用者メニューから1年間ダウンロードできる
たとえば2026年(令和8年)9月の受験分は、合格発表が10月21日、合格証書の発送は11月9日(予定)とされています。10月の受験分は、合格発表が11月20日(予定)です(2026年10月31日時点の合格発表ページ)。日程は月ごとに変わるので、受験した月の欄を公式ページで確認してください。
合格率から見る難しさ

IPAの統計(推移表、令和8年9月時点)によると、ここ数年の合格率は5割前後で推移しています。
| 年度 | 受験者 | 合格者 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 2023年度(令和5年度) | 265,040人 | 133,292人 | 50.3% |
| 2024年度(令和6年度) | 273,905人 | 134,617人 | 49.1% |
| 2025年度(令和7年度) | 271,352人 | 132,012人 | 48.6% |
| 2026年度(令和8年度)4〜9月 | 109,986人 | 53,815人 | 48.9% |
受験した人のおよそ2人に1人が合格している試験です。言いかえれば、半分ほどの人は合格基準に届いていません。「600点取ればいい」という気軽さで受けると、分野別の基準でつまずくこともあります。
2026年度4〜9月の内訳を見ると、社会人の合格率は52.1%、学生は38.9%でした(IPA「試験結果」資料)。合格率の推移や試験全体の概要はITパスポート試験完全ガイドにまとめています。
よくある質問

Q. 600点ちょうどでも合格ですか?
IPAの合格基準は「総合評価点600点以上」です。分野別評価点がすべて300点以上であれば、600点ちょうどでも基準を満たします。ただし、合格は経済産業大臣の決定を経て確定します。
Q. 総合は600点を超えたのに、1分野だけ300点未満でした。
不合格です。IPAのFAQにあるとおり、総合評価点600点以上と、すべての分野別評価点300点以上の両方が必要です。
Q. 何問正解すれば合格できますか?
公式な答えはありません。採点はIRTに基づいて行われ、1問あたりの配点や正解数と点数の対応は公表されていないためです。練習の段階では、過去問で3分野それぞれ6割以上の正解率をそろえることを目安にしてください(公式の基準ではありません)。
Q. 試験中に、評価対象外の問題を見分けられますか?
見分けられません。100問のうち8問は今後の出題のための問題ですが、どれがそれにあたるかは示されません。すべての問題を本番として解きましょう。
Q. 不合格のあと、すぐに受け直せますか?
ITパスポートは何回でも受験でき、申込みできない期間も特にありません(IPA FAQ)。ただし、まだ受けていない申込みがある間は次の申込みができず、受験後に申し込む場合は受験日の翌日以降になります。試験結果の画面やレポートで分野別評価点を確認し、低かった分野から復習してから申し込むのがおすすめです。
Q. 通信講座を使ったほうがいいですか?
独学で受かる人も多い試験です。ITになじみがなく、どこから手をつけていいかわからない場合は講座も選択肢になります。比べるならITパスポートの通信講座比較を参考にしてください。
まとめ

- 合格基準は、総合評価点600点以上(1,000点満点)かつ、3分野それぞれの分野別評価点が300点以上
- 採点はIRT(項目応答理論)に基づく。1問あたりの配点や「何問正解で何点」は公表されていない
- 100問のうち評価に使うのは92問(ストラテジ32・マネジメント18・テクノロジ42)。残り8問は見分けられないので全問を本気で解く
- 落ちやすいのは分野別の基準。とくに問題数の少ないマネジメント系と、自分の苦手分野に注意
- 練習の目安は、過去問で3分野それぞれ6割以上(公式の基準ではない)
- 試験結果はその場で表示されるが、合格の確定は経済産業大臣の決定後
勉強の計画から立てたい人はITパスポートの勉強時間と独学スケジュールへどうぞ。





コメント