FP3級の実技試験はどれを選ぶ?資産設計提案業務・個人資産相談業務・保険顧客資産相談業務の違いと選び方

FP3級の実技試験はどれを選ぶ? 個別資格

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FP3級(3級ファイナンシャル・プランニング技能検定)の実技試験は、3つの科目から1つを選んで受けます。日本FP協会の「資産設計提案業務」と、金融財政事情研究会(きんざい)の「個人資産相談業務」「保険顧客資産相談業務」です。

どれに受かっても、取れる資格は同じ「3級ファイナンシャル・プランニング技能士」です。違うのは、出題の形と、よく出る分野です。選び方を間違えると、勉強していない分野の問題に当たったり、手続きの手間が増えたりします。

この記事では、3科目の違いを1枚の表で比べ、きんざいが示している選び方の目安と、迷ったときの決め方を整理します。学科と実技を別の団体で受けるときの、免除手続きの注意点もまとめました。情報は両団体の公式サイトで2026年11月2日に確認したものです。

FP3級の実技は3科目から1つを選ぶ

FP3級の実技は3科目から1つを選ぶ

学科は共通、実技は団体ごとに別

FP3級は、学科試験と実技試験の両方に合格すると技能士になれます。学科試験は、日本FP協会ときんざいで同じ問題です(きんざいの公式Q&Aより)。一方、実技試験は団体ごとに科目が違い、問題も違います。

  • 日本FP協会:資産設計提案業務(1科目)
  • きんざい:個人資産相談業務、保険顧客資産相談業務(2科目。受検申請のときにどちらかを選ぶ)

きんざいの2科目は、両方に受かる必要はありません。学科に合格して、どちらか1つの実技に合格すれば3級を取れます。

3科目の違いを1枚で比べる

資産設計提案業務 個人資産相談業務 保険顧客資産相談業務
実施団体 日本FP協会 きんざい きんざい
試験時間 60分 60分 60分
出題形式 20問・多肢選択式 事例形式・5題 事例形式・5題
合格基準 100点満点中60点以上 50点満点中30点以上 50点満点中30点以上
受検手数料(非課税) 4,000円 4,000円 4,000円
設例に出てくる主な内容(公式の範囲の文言から) 6分野に加え、提案書関連・コンプライアンス ライフプラン、金融資産、不動産の有効活用、相続・贈与、所得税等 ライフプラン、保険商品の活用、相続・贈与、所得税等
合格率(公表されているCBTの期間) 83.29%〜85.78% 65.00%〜66.67% 44.05%〜47.19%

出典:日本FP協会「試験要綱」「試験範囲」「試験結果」、きんざい「ファイナンシャル・プランニング技能検定3級」「試験科目及びその範囲」「CBT試験結果」・Q&A(2026年11月2日確認)。合格率は、日本FP協会が2024年4月〜2026年8月の5期間、きんざいが2024年4月〜2025年9月の3期間です。

「設例に出てくる主な内容」は、両団体が公表している試験範囲の文言をもとにした読み取りです。個人資産相談業務の範囲には「保険」の文言がなく、保険顧客資産相談業務の範囲には、相談の項目として「金融資産選択」「不動産の有効活用」が挙がっていません(設例の条件としては「保有金融資産等」の文言があります)。ただし、範囲の文書が「この分野は出ない」と書いているわけではありません。

3科目それぞれの特徴

3科目それぞれの特徴

資産設計提案業務(日本FP協会)

日本FP協会の実技は、20問の多肢選択式です。きんざいのQ&Aでは、資産設計提案業務を「ライフ、リスク、金融、タックス、不動産、相続の6分野に加え、提案書関連・コンプライアンスを含めた資産設計の提案に対応する位置付けの試験」と説明しています。

試験範囲の項目は、「関連業法との関係及び職業上の倫理を踏まえたファイナンシャル・プランニング」「ファイナンシャル・プランニングのプロセス」「顧客のファイナンス状況の分析と評価」の3つです。顧客の家族構成や収入、保険証券、キャッシュフロー表などの資料を読み取って答える形が中心になります。

  • 向いている人:学科の6分野をまんべんなく勉強した人。特定の分野に偏らないので、学科の勉強の延長で臨めます
  • 気をつけること:6分野すべてから出るので、学科で手薄な分野があるとそのまま実技にも響きます。キャッシュフロー表や6つの係数など、資料と計算の問題に慣れておきましょう

個人資産相談業務(きんざい)

きんざいの実技は、具体的な設例(相談者の状況)を読んで答える事例形式で、5題出ます。個人資産相談業務は、きんざいのQ&Aで「個人のライフプラン策定、金融資産選択、不動産の有効活用、相続・贈与等における問題点を把握し、その相談に答えるという位置付けの試験」とされています。

  • 向いている人:年金・投資・不動産・税金・相続など、個人のお金の相談を幅広く学びたい人。銀行・証券など金融機関で個人のお客さまを担当する人
  • 気をつけること:範囲の文言に保険がないぶん、金融資産(株式・債券・投資信託など)、不動産、所得税、相続の計算が問われやすくなります。計算に苦手意識がある人は、そこを重点的に練習します

保険顧客資産相談業務(きんざい)

保険顧客資産相談業務は、きんざいのQ&Aで「特に保険商品を有する顧客等に対するライフプラン策定等に関する相談に答えるという位置付けの試験」とされています。範囲の文言では、ライフプランの策定、保険商品の活用、相続・贈与、所得税等の相談が挙がっています。

  • 向いている人:保険会社や保険代理店に勤めていて、保険の相談に応じることが多い人
  • 気をつけること:公表されている期間の合格率は44.05%〜47.19%で、3科目の中でいちばん低くなっています。保険の知識だけでなく、公的年金・社会保険と、保険金にかかる税金(所得税・相続税・贈与税)の組み合わせまで固めておく必要があります

合格率の差は「難しさ」と同じではない

表の合格率だけを見ると、資産設計提案業務がいちばん受かりやすく見えます。ただし、合格率の差の理由を、両団体は説明していません。学科は両団体で同じ問題なのに、学科の合格率も日本FP協会が85.44%〜86.60%、きんざいが47.63%〜49.61%と大きく違います。

同じ学科の問題でこれだけ差があるので、差の多くは「受ける人の違い」から来ていると考えられます(公式の説明ではなく推測です)。実技の合格率も、科目そのものの難しさだけを表しているとは言えません。合格率の推移の詳しい表は、FP3級の合格点と合格率に載せています。

ためしに、ライフプランニングの問題を1問解いてみてください。その場で答え合わせができます。

どれを選ぶか:迷ったときの決め方

どれを選ぶか:迷ったときの決め方

きんざいが示している目安

きんざいは、自団体の2科目の選び方について、公式Q&Aで次のように書いています。

  • 保険会社に勤務しているなど、保険に関する相談に応じることが多い人は保険顧客資産相談業務
  • それ以外の人は個人資産相談業務

この記事のおすすめ

3科目まとめて、次の順に決めるのがおすすめです(この記事の推奨です)。

あなたの状況 おすすめの実技 理由
保険会社・保険代理店で働いている/勤め先から指定されている 保険顧客資産相談業務(または指定の科目) 仕事の知識がそのまま生き、勤め先の団体受検の手続きにも合わせやすい
銀行・証券などで、個人の資産運用や相続の相談を受ける 個人資産相談業務 金融資産・不動産・相続の相談の形がそのまま仕事に近い
自分や家族のために学びたい/仕事の指定はない/迷っている 資産設計提案業務 6分野から広く出るので、学科の勉強の延長で準備できる。学科と同じ団体で申し込めば手続きも簡単
2級まで取るつもり 2級で受けたい団体の3級実技 2級の実技も団体ごとに科目が違う(日本FP協会は資産設計提案業務、きんざいは4科目)。3級のうちに同じ団体の形式に慣れておける

どれを選んでも資格は同じなので、「自分の仕事や目的に近い相談の形」で選ぶのが基本です。特に理由がなければ、学科と同じ団体で実技まで受けると、次に書く免除の手続きで迷うことがありません。

学科と実技を別の団体で受けるときの注意

学科と実技を別の団体で受けるときの注意

団体をまたいで受けることはできる

学科を日本FP協会、実技をきんざい、のように別々の団体で受けることもできます。CBTは日時とテストセンターを自分で選べるので、同じ日に両方を受けることも「可能と思われる」としています(きんざいのQ&A)。

ただし、きんざいのQ&Aでは、別の団体で両方を受けて合格した場合、合格証書を取るには別途手続が必要で、通常の合格発表日には合格証書を受け取れないと書かれています。

一部合格の免除は、方向によって扱いが違う

先に学科か実技の一方だけに合格すると「一部合格」になり、もう一方を受けるときに免除の申請をします。団体をまたぐ場合の扱いは次のとおりです。

先に合格したもの 次に受けるもの 扱い
日本FP協会の学科 きんざいの実技 きんざいの実技の申込時に、学科の免除申請ができる
日本FP協会の実技(資産設計提案業務) きんざいの学科 きんざいの学科の申込時には免除申請ができない。学科に合格したあと、日本FP協会で「両方免除申請」の手続きが必要
きんざいの実技 日本FP協会の学科 日本FP協会では、きんざいの実技の免除はできない。きんざいで学科を申し込み、その際に実技の免除手続きをする

出典:きんざいQ&A、日本FP協会「試験要綱」10.(2026年11月2日確認)

一部合格の有効期限は、合格した試験の実施日が属する年度の翌々年度末までです(年度は4月〜翌年3月)。免除は自動ではなく、予約のときに一部合格番号を入れて自分で申請します。申請を忘れると、両方に受かっていても合格証書が出ないので注意してください(その場合は、あとから「両方免除申請」の手続きをすれば発行されます)。予約の手順はFP3級のCBT試験の申込方法と当日の流れで詳しく書いています。

実技ではどんなふうに問われるか(自作の例)

実技ではどんなふうに問われるか(自作の例)

実技の問題は、学科のように1文の正誤を問うのではなく、ある相談者の状況(設例)や資料を読んで、それに当てはめて答える形です。公表問題の文章は載せられないので、ここでは資格のミカタが作った例で、問われ方のイメージを紹介します。

資料を読み取る形(資産設計提案業務のイメージ)

【例】Aさん一家のキャッシュフロー表で、今年の基本生活費は300万円、変動率は年1%とされている。3年後の基本生活費はいくらか(万円未満を四捨五入)。

【考え方】キャッシュフロー表の将来の値は「今の金額×(1+変動率)年数」です。300万円×1.01×1.01×1.01=309.09万円で、約309万円になります。表の空欄を埋めさせる形で出ることがあり、学科の知識(式)を資料に当てはめられるかが問われます。

相談に答える形(個人資産相談業務のイメージ)

【例】Bさん(会社員)は勤続30年で退職し、退職金2,500万円を受け取る予定。「退職所得の受給に関する申告書」を提出する。Bさんの退職所得の金額はいくらか。

【考え方】退職所得控除額は、勤続20年を超えるので800万円+70万円×(30年−20年)=1,500万円。退職所得の金額は(2,500万円−1,500万円)×1/2=500万円です。設例の文章から「勤続年数」「申告書を出すか」など、計算に必要な条件を拾い出すのがポイントです。

保険と相続をつなげる形(保険顧客資産相談業務のイメージ)

【例】Cさんが亡くなった場合の相続人は、妻と子2人の3人。相続税の基礎控除額はいくらか。

【考え方】3,000万円+600万円×3人=4,800万円です。保険顧客資産相談業務では、こうした相続の基本と、死亡保険金や保険の税金の知識を組み合わせて、相談者の家族に必要な保障や備えを考える形で問われます。

※上の例はすべて資格のミカタが作ったもので、実際の試験問題ではありません。計算の解き方はFP3級の計算問題のコツで詳しく解説しています。

実技の対策の進め方

実技の対策の進め方

学科の6分野が終わってから、形式に慣れる

実技は、学科と同じ知識を、具体的な人物や資料に当てはめて答える試験です。新しい知識が大量に必要になるわけではないので、学科の範囲を一通り終えてから、実技の形式に慣れる練習を足す順番で十分です。勉強時間の配分例はFP3級の勉強時間と独学スケジュールに載せています。

日本FP協会は、CBT化した2024年度から、毎年5月下旬ごろに1セット分の試験問題と解答を公表しています。3級の実技(資産設計提案業務)も、2024年5月・2025年5月・2026年5月の分が公式サイトにあります。きんざいも、CBTの問題・模範解答を公表しています。本番の画面や資料の見せ方を知るために、選んだ科目の公表問題を一度は通して解いておきましょう。

実技でよく使う計算を手で覚える

どの科目でも、設例の数字を使った計算が出ます。たとえば次のようなものです。

  • キャッシュフロー表の将来の金額(現在の額×(1+変動率)年数)と、6つの係数
  • 退職所得、所得税の計算
  • 建蔽率・容積率から、建てられる建物の面積
  • 相続税の基礎控除と、法定相続分

どれも手順を覚えれば確実に取れる問題です。例題と解き方はFP3級の計算問題のコツにまとめました。

スキマ時間に、分野ごとの問題で穴を見つける

実技で問われる知識に穴がないかは、分野ごとに問題を解くと見つかります。学習アプリ「ごうかくっ!」には、FP3級の6分野すべてにオリジナル問題562問があり、選択肢ごとに解説が付いています。ハムスターの「えふぴーまる」がボードで1テーマずつ説明する動画レッスン(全66本・1本3分前後)、学習マップ、毎日の「今日の3問」もあり、登録は無料です。選んだ実技科目でよく出る分野を、通勤の時間などに少しずつ固められます。

よくある質問

よくある質問

Q. 実技の科目によって、取れる資格は違いますか?

どの科目に合格しても「3級ファイナンシャル・プランニング技能士」です。きんざいで合格した場合、資格は「3級ファイナンシャル・プランニング技能士(個人資産相談業務)」のように科目名付きで扱われます。どちらの団体で受けても、取れる資格は同一とされています。

Q. いちばん簡単な実技はどれですか?

公表されている合格率は資産設計提案業務がいちばん高いものの、両団体とも差の理由は説明していません。学科も同じ問題で団体ごとの合格率が大きく違うので、合格率だけで「簡単」とは言えません。自分の勉強した分野や仕事に近い科目を選ぶ方が、点を取りやすくなります。

Q. 学科と実技は同じ日に受けられますか?

会場に空席があれば、同じ日に受けられます。きんざいは、同じ日に受ける場合は「試験時間+15分以上」空けて次の試験を予約するよう勧めています。別の日に受けてもかまいません。

Q. 実技だけ落ちました。学科も受け直しですか?

受け直す必要はありません。学科は一部合格になり、翌々年度末まで有効です。次は実技だけを予約し、そのときに学科の免除を申請してください。2回目の受検日は、前の試験の合格発表日の翌日以降になります(日本FP協会の場合)。

Q. 2級に進むとき、3級と同じ団体で受けないといけませんか?

同じ団体である必要はありません。きんざいのQ&Aでは、日本FP協会で3級を取った人もきんざいで2級を取れ、その逆もできるとしています。2級の受検資格の1つは「3級FP技能検定の合格者」で、受検申請のときに合格番号を入れます(日本FP協会の試験要綱)。2級の実技は、日本FP協会が資産設計提案業務、きんざいが個人資産相談業務・中小事業主資産相談業務・生保顧客資産相談業務・損保顧客資産相談業務の4科目です。2級でどれを受けたいかが決まっているなら、3級もその団体の形式に慣れておくと移りやすくなります。

Q. きんざいの実技に2つとも合格したらどうなりますか?

きんざいは、総合合格の判定を実技の科目ごとに行い、複数の実技に合格すると、合格した科目の数だけ合格証書を交付するとしています。ただし、3級を取るにはどちらか1つで足ります。

Q. 実技の科目は、あとで変えられますか?

一度決済した申込みの科目は変更できません。日本FP協会は「決済完了後は、受検する試験(科目)や級の変更はできません」、きんざいも「科目の変更は行うことができません」としています。変えたい場合は、受検日の3日前までにキャンセルして申し込み直します(キャンセル手数料がかかります)。

まとめ

まとめ
  • FP3級の実技は、日本FP協会の資産設計提案業務、きんざいの個人資産相談業務・保険顧客資産相談業務の3つから1つを選ぶ。どれに受かっても資格は同じ
  • 資産設計提案業務は20問・100点満点中60点、きんざいの2科目は事例5題・50点満点中30点。どれも60分
  • きんざいの目安は、保険の相談が多い人は保険顧客資産相談業務、それ以外は個人資産相談業務
  • 迷ったら、6分野から広く出る資産設計提案業務を、学科と同じ日本FP協会で受けるのが手続きも簡単(この記事の推奨)
  • 合格率の差は受ける人の違いも大きいと考えられ、科目の難しさとイコールではない
  • 団体をまたぐと免除の手続きが増える。特に日本FP協会の実技に先に受かった人は、きんざいの学科の申込時に免除申請ができない

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FP資格の全体像と3級・2級の違いは、FP資格の取り方|3級・2級の違いと勉強法にまとめています。

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